宗旨
曹洞宗は、お釈迦さまより歴代の祖師(そし)方によって相続されてきた「正伝(しょうでん)の仏法(ぶっぽう)」を依りどころとする宗派です。それは坐禅の教えを依りどころにしており、坐禅の実践によって得る身と心のやすらぎが、そのまま「仏の姿」であると自覚することにあります。
そして坐禅の精神による行住坐臥(ぎょうじゅうざが)(「行」とは歩くこと、「住」とはとどまること、「坐」とは坐ること、「臥」とは寝ることで、生活すべてを指します。)の生活に安住し、お互いに安らかでおだやかな日々を送ることに、人間として生まれてきたこの世に価値を見いだしていこうというのです。
教義
私たちが人間として生を得るということは、仏さまと同じ心、「仏心(ぶっしん)」を与えられてこの世に生まれたと、道元禅師はおっしゃっておられます。「仏心」には、自分のいのちを大切にするだけでなく他の人びとや物のいのちも大切にする、他人への思いやりが息づいています。しかし、私たちはその尊さに気づかずに我がまま勝手の生活をして苦しみや悩みのもとをつくってしまいがちです。
お釈迦さま、道元禅師、瑩山禅師の「み教え」を信じ、その教えに導かれて、毎日の生活の中の行い一つひとつを大切にすることを心がけたならば、身と心が調えられ私たちのなかにある「仏の姿」が明らかとなります。
日々の生活を意識して行じ、互いに生きる喜びを見いだしていくことが、曹洞宗の目指す生き方といえましょう。
曹洞宗はお釈迦様より歴代の祖師がたによって相続されてきた正伝の仏法です。
曹洞宗は今から800年ほど前、鎌倉時代に高祖道元禅師様が我が国に伝えて、ゆるぎなき礎をきずかれ、4代目の太祖蛍山禅師様が一層盛んになさいました。
そして宗門は、今日全国に約1万5千の寺院と800万人の檀信徒を擁する大宗団に発展し、未来に向けてさらに前進しております。
曹洞宗では、お釈迦様と高祖道元禅師様・太祖瑩山禅師様を「一佛両祖」と尊称し、信仰のまことをささげます。
(画像は一佛両祖像)
道元禅師
瑩山禅師
浄泉寺開山 断江周恩大和尚像
曹洞宗は、お釈迦様をご本尊として仰ぎます。
本尊唱名:南無釈迦牟尼佛
(なむしゃかむにぶつ)
開山は、道元禅師。開基は、波多野義重。寛元元年(1243年)、京都深草から越前に入り、吉峰寺・禅師峯寺に住み、寛元2年7月、傘松峯大仏寺を建て、寛元4年6月に永平寺と改名した。また、宝治2年(1248年)11月、傘松峯を吉祥山に改めた。永平寺の寺名には、釈尊から伝わる正しい仏法を実践する日本仏教の総府であるとの、道元禅師の自負がうかがわれます。
三方を山に囲まれ、南方は永平寺川の清流に面する仙境で、境内地はおよそ33万平方メートル(約10万坪)、建物は70余棟から成り、代表的な建物は、山門・仏殿・法堂・僧堂・庫院・浴室・東司のいわゆる七堂伽藍であるが、このほか、承陽殿(道元禅師御廟)、衆寮(修行僧が読書などをする建物)、接賓(本来は来客をもてなすところであるが、修行僧の教育に携わる役僧の部屋がある)、不老閣(住持の居室)、妙高台(住持が来賓に応対する部屋)、大光明蔵(住持が檀信徒に説法を行う部屋)、傘松閣(参拝者をもてなす広間)、菩提座(指導の役僧が修行僧に講義等をする部屋)、祠堂殿(檀信徒の位牌をまつる堂)、舎利殿(檀信徒の納骨堂)、吉祥閣(檀信徒の研修所)、一華蔵(宝物庫)、経蔵、勅使門(住持・勅使または特別の来賓を送り迎えする門)、鐘楼そのほか、延べ4500坪あまりの建物があります。
八百年近くにわたり栄枯盛衰を繰り返しながら、不滅の法灯を掲げつづけており、曹洞宗の檀信徒であれば、一度は参拝をすべき寺院であると思われます。
(福井県吉田郡永平寺町志比)
開山は、瑩山禅師。元亨元年(1321年) 真言宗の定賢権律師から諸岳観音堂を寄進され、寺号を山号に改め、諸岳山總持寺と称えて、禅院としました。もとは石川県輪島市にありましたが、明治31年(1898年)に焼失したため、明治40年(1907年)、横浜市鶴見区に移転しました。寺域は約30万平方㍍で、数十の甍が建ちならび多くの修行僧を擁しています。
石川県の旧址は、間もなく復興され、總持寺祖院と称し、瑩山禅師の祖廟としての面目を堅持しています。
鶴見の總持寺のある場所は、永平寺と違って国際都市横浜の丘陵地帯であります。山の永平寺に対して街の總持寺ということになり、両大本山の性格と使命が、対象的な好一対として、よく表れています。
主要な建物は、山門・仏殿・法堂・僧堂・庫院・浴室・東司のいわゆる七堂伽藍でありますが、この内、法堂は、總持寺の場合太祖堂と呼んで、独特であります。間口五四・五㍍、奥行き47.2メートル、地上・地下各一階、床面積六、611平方メートル、畳数千枚、地盤から棟の上端まで36メートルという大伽藍であります。他に伝灯院(瑩山禅師御廟)、放光堂(檀信徒の位牌をまつる堂)、常照殿(檀信徒の納骨堂)、御霊殿(後醍醐天皇、南朝八代の天皇をおまつりする。)、紫雲台(住持が全国の寺院住職や檀信徒、貴賓と公式に面接する部屋)、跳竜室(住持が賓客と接見する部屋)、天真閣(客殿)、待鳳館(客間)、三松閣(檀信徒の研修道場)、衆寮、勅使門などがあります。
(神奈川県横浜市鶴見区鶴見2)